- 2006年3月3日 23:59
- 参考本
最初、旭山動物園関連のニュースだけをさらりと見ていたら、1995年に菅野浩園長が定年退職を迎え、小菅正夫さんが新しい園長となってこの動物園が変わっていったのかなというイメージをもってしまいました。
でも、その後本を読んで、とんでもなく間違った見方をしていたことに気づきました。
確実に菅野浩さんが園長の時代から今に至る体制は整っていて、皆でアイデアを考え、できる範囲から実行していっているんですよね。
小菅さんが新園長になった前後に、市長が変わったことによって市から予算が下りて現在の形になっていったという、いわば小菅さんの時代は菅野さんの時代からあたためてきたアイデアが時の運で実を結んだという方が正確な見方でした。
その様々のアイデアのひとつが「ワンポイントガイド」の導入です。動物をよく知っている飼育係の方々が直接、担当する動物たちのその日のライブ情報を交えながらお客に向かって解説するというものです。
今まで飼育係の仕事は、その名の示すとおり、動物を世話するという仕事を行っていたのですが、「ワンポイントガイド」によってお客との橋渡しの役割を担い始めます。
『旭山動物園の奇跡』で飼育係の方はこういいます。
「ライオンはね」から始めて、「猫科の動物でね」と続けても、それは本で読めばわかる話なんで、最後まで聞くのは退屈なんですよ。
だけど「うちのライラは何年生まれで、今は人間でいうとこれくらいの大人なんだ。今までに何回子どもを産んで、こういう性格をしているんだよ」と、そこからライオンの生態について話をしていくんですよ。
すると、大人も子どもも関係なく興味を持って最後まで聞いてくれるんです。
そして、飼育係同士で約束したのは、雨が降ろうと槍が降ろうとワンポイントガイドは絶対に休まないということだった。
「一度休んでしまうと、何かと理由をつけて休んでしまいそうだったから」
とこうして役割が広がっていって、“飼育係”の呼び名も“飼育展示係”へと変わっていきました。
コメント:0
トラックバック:0
- この記事のトラックバック URL
- http://dskiwt.net/blog/archives/182/trackback
- トラックバックの送信元リスト
- 旭山動物園 その3 - dskiwt.net より