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家日和 その3

「グレープフルーツ・モンスター」 は39歳の専業主婦・佐藤弘子が、在宅の仕事の受け渡しで家に来る営業マン・栗原から漂う柑橘系の香りを嗅いで以来、淫らな夢を見るように……。

思い通りの夢を見るために夫を邪険に扱ったり、準備を万全に整える様が笑えます。これは『ララピポ』、そして、最後の短編の「妻と玄米御飯」は伊良部シリーズの中でもスパイスのきいているものとジャンルが似ていると思いました。

「妻と玄米御飯」は42歳の小説家・大塚康夫が主人公。康夫が名のある文学賞を受賞し、本がベストセラーに。大塚家には大金が舞い込むことなり、生活にゆとりが生まれ、いつしか妻・里美が“ロハス”にハマるようになります。妻や近所の佐野夫妻のロハスぶりを冷ややかに見る康夫は、ふと小説のネタになるのでは、と考えます……。

「夫とカーテン」は何度も転職を繰り返し、今度は新たにカーテン屋をはじめようともくろむ夫・栄一とイラストレーターの妻・春代が主人公。どちらも34歳。安定した日常を求める春代は栄一に気をもみつつも、栄一がそんな状態のときこそ、自分のイラストに傑作が生まれることに気づきます……。

この作品は「ここが青山」「家においでよ」と通ずるものがあります。はたから見れば、職を転々、失業、別居と深刻な問題となりうるものなんですが、それぞれのキャラがポジディブで、それでいてへんに肩の力が入っていないから、読んでいるこっちも楽しく読めます。
栄一のポジティブシンキングさと行動力(営業力)は見習いたいです。


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