- 2008年8月19日 23:59
- 日本映画
1990年代初頭から21世紀にかけて、実際に起きた社会的事件の数々を背景に、妻・翔子(木村多江)と夫・カナオ(リリー・フランキー)のささやかな夫婦の10年が綴られた物語。
二人の間にできた子どもの死をきっかけに、翔子が精神の均衡を少しずつ崩していきます。この時の、何をするというわけではないんですが、ただ彼女に寄り添うカナオの姿にやられてしまいます。「そばにいる」ことの大事さが伝わってきます。
もし自分がカナオの立場だったら、どうなるのだろうか、どう振る舞うのだろうかなど、観ていて、こっちがいろいろと考えさせられてしまいます。それは観終わった今でも。
また、二人ともに相手に対する信頼感が一度もゆらがない様に感動してしまいます。
カナオは靴の修理工から法廷画家へと職を変え、なんとなく頼りないとまわりから思われていて、親からも「あんな男やめたら」と言われつつも、翔子は相手に対する信頼感だけは保ち続けているんですよね。
ところで、翔子が静かにうつの状態になっていくところが他の作品よりもより心に響いて目が離せなくなってしまったんですが、パンフレットを読むと、監督自らがうつになった経験があるようで、だから、より惹きつけられるところがあったのかもしれません。
翔子とカナオはある種、理想の夫婦像のような気もしました。シアワセを共有することはできるけど、こういったどちらか一方に何かが起きたときに、いかに受け止め、前向きになって乗り切れるかが一番難しく大事なことなのかもと思いました。
木村多江とリリー・フランキーの二人の長回しのシーンは、パンフレットを読むと、脚本どおりと書いてありましたが、アドリブにしか見えないほど魅入ってしまいました。
それにしても木村多江の10年の姿はひとりの人間の成長が彼女自身に感じられ、素晴らしかったです。すっかりタエちゃんを好きになりました。
また、この作品を観て、橋口亮輔監督にすごく興味をもちました。前作『ハッシュ!』を是非観たくなりました。
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