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乃里子三部作 その10

この『苺をつぶしながら』で気になったアフォリズムたち。

「人は自分が愛したもののことは忘れても、自分を愛した人のことは忘れないものである」

一見、逆説的に感じるんですが、数少ない!? 今までの過去を振り返ったときに、たしかに、自分が好きだった人のほうが、あまり思い出せないような気がします。

「男のなかの一ばん上等は、同級生的魅力ですよ」

「女が同姓に優越感をもつとき、自分が安定してる、あるいは一人の男に定着してる、という場合が多いのはなぜかしら」

「私はくりかえしということが好きなので、新しいページをめくりたがってばかりいる人は弱いのである。人とじっくり、つき合うのも好きだし」

「『またこんど』とか『またこのつぎに』というのは、『そのうち電話する』よりずっと便利なコトバで、オトナ向きである」

そして、この三部作を通して、最大のアフォリズムは、第一作『言い寄る』で登場した、

「世の中には二種類の人間がいる。言い寄れる人と、言い寄れない人である」

にもうひとつのキーワードを加えたものです。

「世の中には三種類の人間がいるのだ。言い寄れる人と言い寄れない人と、粘れる人なのだ」


『苺をつぶしながら』
(田辺 聖子/講談社)


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