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参考本のアーカイブ

萬斎でござる その1

  • 投稿者: dsk
  • 2006年4月12日 23:59
  • 参考本

能楽を観に行きたい、と長年思いつつもそのままになっています。でも行くとしたらまず野村萬斎さんの狂言を観に行きたいですね。

野村萬斎さんが出演している映画『乱』『陰陽師』、そして NHK 連続テレビ小説「あぐり」は見ましたが、舞台には行ったことがありません。でも、もう6、7年前? でしょうか、 たまたま見たNHK 紅白歌合戦で野村萬斎さんが審査員をやっていて、その時のコメントがココロに残ったんですよね。

「いろいろな・・・華を見させてもらいました」

と紅組の若い女性から年輩の女性までを称えるコメントだったんですけど、なんとなくこのコトバに感動してしまったんですよね。で、この方の舞台での演技を観てみたいと。

そんなことを思いつつも何年も経っていたんですが、この前本屋でふとこの本が目について買ってみました。

萬斎でござる
『萬斎でござる』

映画やテレビなど、狂言以外の世界での活躍をごらんいただいて、私に興味を持ってくださる人が多くなるにつれ、自分を媒体に狂言について近づいてくださる方たちに、まず読んでいただけるような本を書いてみたいと思っていました。

私と狂言との関わり、狂言をどう考えているのかなどを、私の成長の過程を追いながらみていただければ、わかりやすいものになるのではと考えました。

と前書きで述べている通り、野村萬斎さんの生い立ちから狂言世界の話、イギリス留学、はたまた狂言以外の場での活躍などが書かれています。また、狂言の基礎知識や題目の内容、さらには、狂言の歴史、野村萬斎さんが属する和泉流の流れ、野村家についてなども綴られていてとても参考になります。

つづく

旭山動物園 番外

  • 投稿者: dsk
  • 2006年3月25日 23:59
  • 参考本

「旭山動物園 その10」のつづき

また別の旭山動物園関連の本を読みました。

ところでニュースで、2005年度の旭山動物園の入園者数が発表されていました。

206万7684人で、1位の東京・恩賜上野動物園、338万5013人に次いで全国2位とのことです。ちなみに3位は去年2位の名古屋・東山動物園、165万人でした。

旭山動物園の月別最高入園者数は、8月の45万6097人だそうです。

とんでもない数ですけど、その分混んでいるので、いろいろな不満が出てきそうでお客の対応が難しそうですね。この混んでいる中にもお客に満足してもらえる方法を考えるのはなかなか大変ですけど、質を落とさずに対応してほしいです。

幸せな動物園
『幸せな動物園』(旭山動物園・監修 若木信吾・写真 はまのゆか・スケッチ画/ブルース・インターアクションズ)

これはおすすめですね。

ひとつひとつの施設のマップ、スケッチ画と説明が掲載されており、さらに写真もあって、施設の仕かけや仕組みについて視覚的にも非常にわかりやすくなっています。

スケッチ画というのが頭に入りやすいんですよね。また、説明もけっこうしっかりしたものです。全体的に簡単な図鑑みたいな感じになっています。

さらにカラーの「14枚のスケッチ」も掲載してあります。丁寧な仕上がりでスグレモノの本ですね。

旭山動物園物語
『旭山動物園物語』(古舘謙二・文 篠塚則明・写真/樹立社)

けっこう写真が他の本とは異なっていて、「行動展示」を生かした施設の写真はもちろん、開園を待っている人々の様子とか、動物を見ている様子とか、もらった受賞パネルなど、違うポイントから撮った写真がよかったですね。

こちらもカラーの「14枚のスケッチ」が掲載されています。

この本で、「オランウータン舎」の「空中運動場」についてふれている個所があります。「空中運動場」は、高さ17メートルの2本の柱の間に長さ14メートルのロープを渡した施設で、そのロープをオランウータンが伝って散歩をする様子をお客に見てもらおうというものです。

これをつくる際に、「落ちたらどうする。安全ネットを張ってはどうか」という声が上がったそうなんですけど、オランウータンの「すごさ」が伝わらないとして、結局安全ネットがないものが完成しました。

もちろん、400キロもの握力があり、一度つかんだものは決して離さない、というオランウータンの習性を理解してのことです。

けっこうこういった心意気が好きですね。

この本の「あとがき」にこう書かれています。

小菅正夫園長は、旭山動物園が入園者を飛躍させた秘訣をよく聞かれ、答えのかわりに次のようななぞなぞかけをするそうです。

「だれにでも人生で3回動物園にいくチャンスがあります。1回目は子どものころで親に連れられて。2回目は自分が親になったとき子どもを連れて。3回目はおじいちゃん、おばあちゃんになって孫を連れて」

財政面で危機的な状況にあった旭山動物園の園長を引き受けたとき、小菅さんが考えたのは「人生の節目になんとなく出かける場所」から、何度も足を運びたくなるような場所に変えるための工夫でした・・・

というところから、「何を変えられるか」ということになり、「今いる動物たちの見せ方を変える」という考えになり、「14枚のスケッチ」が完成したというわけです。

旭山動物園 その10

  • 投稿者: dsk
  • 2006年3月10日 00:00
  • 参考本

「旭山動物園 その9」のつづき

他の本を挙げると、

旭山動物園園長が語る命のメッセージ
『旭山動物園園長が語る 命のメッセージ』(小菅正夫/竹書房)

小菅正夫園長が語った内容を本にしたものです。

現代の日常生活でなかなか伝わらなくなってしまった「命」を、何とかして伝えたい。僕が今、旭山動物園の園長をしながらいつも心で願っているのはこのことです。

と書いてあるように、この本のタイトル通りに、動物園の役割とは、命とは、生きる意味とは、といった動物園を通して知る本質的な話が描かれているので他の本とはちょっとタイプが違います。

ここで語られることを読んで、養老猛司氏の『死の壁』で言っていたようなことが書かれていることに気づいたんですね。

人々が病院で死を迎えるようになったことで、日常生活の中から「死」というものがどんどん遠ざけられるようになったことも、「命」をわからなくさせている一因かもしれません。

など書かれていて、けっこう他にも『死の壁』や『バカの壁』に通じることが書かれています

うぁー、すごーい―旭川・旭山動物園
『うぁー、すごーい ― 旭川・旭山動物園』(今津秀邦・写真/旭川市旭山動物園・監修/エムジー・コーポレーション)

大きな写真が載せられていて、例えばペンギンのページだったら英語の「Penguin」の表記もあって、学名や分類、生息地などの情報も載っていて子ども向けの簡単な英語学習? と辞典の役割を果たしています。

大好き! 旭山動物園
『大好き! 旭山動物園』(多田ヒロミ/NHK 出版)

「旭山動物園くらぶ」の代表、多田ヒロミさんが書いた本です。「旭山動物園くらぶ」は、1997年4月に動物園好きの有志が集まって発足させた団体で現在 NPO 法人となっています。会報誌やホームページ、イベントの開催などで旭山動物園をサポートしています。

「くらぶ」の仕事や「くらぶ」としての視点から旭山動物園について書かれているので、他の本とはまた違った感じで読むことができます。それぞれの館についての解説も書かれています。

旭山動物園のウェブサイトもけっこう充実しています。ライブカメラがあって生の映像を見ることもできますし、職員のコトバや研究抄録や論文掲載リストまでも見ることができます。何よりも更新頻度の高さがいいですね。けっこうこまめに更新されています。

旭山動物園をサポートする「旭山動物園くらぶ」のウェブサイトも別にありますし。

「14枚のスケッチ」は7枚が5つの施設となって実現しているのみ、ということなのでまだまだ旭山動物園の快進撃は続きそうです。

でもこれからが大変ですよね。これだけのお客が来る中で質の高さを維持するのは大変ですよね。それでもこれを乗り越えて例えば5年後とかも同じ水準を保っていてほしいです。応援してます。

旭山動物園 その9

  • 投稿者: dsk
  • 2006年3月9日 00:00
  • 参考本

「旭山動物園 その8」のつづき

今や旭山動物園は日本のみならず世界にもその名を知られるようになりました。Google で「ASAHIYAMA ZOO」と検索すると海外のページにもヒットします。

あと、ここまで人気が出たのは、旭山動物園の展示方法や姿勢以外に、もちろんマスコミが取り上げたこともあるでしょうけど、実に様々な種類の旭山動物園関連の本が出版されていることですよね。

ガイドブック的なものもあれば、絵本仕立てのものもあれば、歴史を書いたものもあれば、ビジネス書風のサクセス・ストーリー仕立てのものもあれば、写真好きの人のための写真集みたいなものもあり、子どもから大人まで、大人でも様々なタイプの大人に対応した本が売られていることですよね。

また、実際の動きを見れる DVD モノも出てますし、とにかく調べた時に3、4冊あればいいかなくらいに思っていたので数の多さにビックリしました。

特に、旭山動物園の奇跡、軌跡を知りたい場合は、『旭山動物園の奇跡』『旭山動物園のつくり方』『北の動物園できいた12のお話 旭山動物園物語』『感動! 旭山動物園』がおすすめですね。

旭山動物園の奇跡
『旭山動物園の奇跡』(SPA!編集部・編集/扶桑社)

旭山動物園で働く人々の声とか、一番コンパクトにまとまっていると思います。まずこれを読むのがおすすめですね。

旭山動物園のつくり方―「伝えるのは命」最北の動物園からのメッセージ
『旭山動物園のつくり方 ― 「伝えるのは命」最北の動物園からのメッセージ』(原子禅・文 亀畑清隆・写真/柏艪舎)

さらにページ数も多くて詳しく書いてあります。「14枚のスケッチ」も見ることができます。

北の動物園できいた12のお話 旭山動物園物語
『北の動物園できいた12のお話 旭山動物園物語』(浜なつ子・文 あべ弘士・絵/角川学芸出版)

おはなし風の感じで書かれているんですが、難しいコトバも説明されていたり、何気にこまかいところまで書かれていて、けっこういい1冊だと思います。

感動!旭山動物園
『感動! 旭山動物園』(主婦と生活社・編集/主婦と生活社)

動物の写真のみならず施設全体の写真もあり、動物の生態やワンポイント情報も載っています。さらに旭山動物園の歴史も簡潔ながらこれ1冊で十分わかるように描かれていてこれもおすすめですね。

つづく

旭山動物園 その8

  • 投稿者: dsk
  • 2006年3月8日 00:47
  • 参考本

「旭山動物園 その7」のつづき

さらに旭山動物園では、去年の夏に「くもざる・かぴばら館」をオープンし、さらに「ちんぱんじー館」が今年の夏にオープンする予定となっています。

この「くもざる・かぴばら館」では新しい試みが行われています。それは異なる種の動物を一緒に飼育する「混合飼育」というものです。ちなみにカピバラというのはネズミの一種とのことです。

といろいろ挙げてきましたが、旭山動物園に対して一番疑問に思っていたことは、それらの試みが動物にとっていいことなのか、ということでした。でも、この疑問も本を読むことによって解消されていきました。

・・・今でもそうですが、動物にとって人間の視線はストレスの原因になるという考え方があるんです。そのため、お客さんから隠れる場所を確保することが動物のためだというのが“業界の常識”です。だから、どこの動物園でも、動物が隠れて見えないことが多いわけです。しかし、僕たちは逆だと考えていた・・・(『旭山動物園の奇跡』)

・・・(動物にとって適した環境を提供することによって)自分が優位な立場にあると感じ、逆に彼らにとっても行き交う人を眺めることがストレスの発散に繋がっている(『旭山動物園のつくり方』)

と、これらの新しい施設はむしろストレスの発散につながっているとのことでした。

特に旭山動物園に対して感心したのは、これら新しい動物の展示を漠然とやっているのではなく、学術的な理論に基づいてやっていたり、やらなければダメだと思っているところですね。

旭山動物園は動物の展示において、まず「動物にとって快適か」どうかを考え、しかもそれが「動物学の視点から」きちんとした理論に基づいているかを重視するみたいです。その上で「お客の反応」の要素が入ってくるという3段構えになっています。

あと、『感動! 旭山動物園』で触れていたんですけど、例えばヒョウとの距離が近くて危険ではないか、との声に対して、外国の動物園を参考のひとつとして例に出していて、そういったところもいいですね。

「ヨーロッパの動物園では猛獣のライオンでもオリの前には柵がありませんでした。手を出してケガをしたら本人が悪いということを、外国では幼少時代から徹底的に教え込まれます」

旭山動物園は是非行ってみたいですね。

寒さで長時間動物が外で過ごせないということで、冬期は入園時間が限られています。冬期は10時30分~15時30分(入園は15時00分)までとなっています。

年間パスポート(「動物園パスポート」)もあるみたいです。値段は1000円。入園料が大人580円(中学生以下は無料)なので、2回行けば元が取れるという、動物園はどこも割安ですが、破格の安さです。

つづく

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