- 2006年8月5日 23:59
- 参考本
『相手に「伝わる」話し方―ぼくはこんなことを考えながら話してきた』(池上彰/講談社)
この本は池上さんがNHK に入局後、最初に赴任した島根県の松江放送局でのサツ回り(警察取材)の話から、リポートも務めた記者時代、キャスター時代、そして「週刊こどもニュース」でのお父さん役の話まで語られています。
サツ回りの話は、池上さんがこういうことをやっていたというのも興味深かったですし、当時の警察事情や、いかに信頼を得て警察の人から話を聞きだすかについて書かれていて、とてもおもしろかったですね。
あるときふと私は、「これって、セールスマンと同じではないか」と思いつきました……。
……セールスマンが商品を売り込むためにはまず自分を売り込む必要があるのと同じように、記者が情報を得るためには、「自分」を相手に売り込む、つまり「自分が信用できる人間である」ということを相手に理解してもらうことが必要だということに思い至ったのです。
この本を読むと、やはり池上さんは「いかに情報をかみくだいてわかってもらえるか」という視点で絶えず考えていたんだなぁということがわかります。
そこは「週刊こどもニュース」時代の話を読んでいても感じることができます。
番組は、NHK の報道局と番組制作局が一緒になって制作しているのですが、報道局の職員は、私ひとり。残りのスタッフは番組制作局で子ども向け番組を作ってきたメンバーです。それに報道局やアナウンス質の OB の協力を得て毎週の放送を制作しています……。
……テレビと言っても「音声メディア」です。耳で聞いただけでわかるかどうかが大事なのです。そこで原稿の文章は見せずに、私が声に出して読み上げて、子どもたちに聞かせます。子どもたちが、「わからない」と言うと、わかるまで書き直す作業を繰り返しています。
随所に参考になるなぁというコトバがちりばめられています。
「こんな言い方で、相手にわかってもらえるのかな」と常に自問自答を繰り返しながら、言葉を選んでいます。
むずかしい言葉をそのまま使うことは簡単です。むずかしい言葉をやさしく言い換えることが、大変むずかしいのです。
あるものごとをやさしく言い換えるためには、その言葉の本来の意味と、使われている文脈での意味、そして、その言葉を使う背景まで知っていなくては、ニュアンスを正確に再現する言い換えにはなりません。その問題についての深い理解が必要なのです。
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