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生活はアート その5

本書で書かれている、電子レンジがキライなところや、季節のリズムを感じられなくなるからエアコンをなるべく使わないところや、また、「旅」に関する考え方なんかも、自分が無意識ながらも思っていたことや、実践してきたことなのでとても共感できます。

電子レンジはあの人工的な温かさがどうにもニガテで、いまだにオーブンレンジしかイエにありません(人が来たときビックリされますが……)。エアコンも暑さ寒さどちらもキツい時はもちろんつけますが、全般的に一人でいるときはそれほど頻繁には使ってないような気がします。

「旅」に対する考え方というのは何かと言うと、日々の生活が不安定の時に気分転換としてではなく、充実している状態で旅行をすれば、多くのものをインプットできて、プラス・アルファとなる、といったものです。

そして彼の考え方で一番共感できるのが、普遍的なものが好きなところです。

「衣食住すべてにおいてそうですが、僕の好きなものはどうやら一貫しています。それは『時を越えるもの』です。アンティークや伝統あるものが文句なく好きということではなく、永く付きあえて古くしていけるものが好きです」

これはスゴクわかる、というか、自分が昔から一番求めているところです。例えば今の仕事は最先端の流行とか情報というものを追い求めなければいけないところもあるんですが、そういったものとは別に、どの時代にも「時を越えて」受け入れられる普遍的なものを追い求めるのが好きです。

miさんはこの本をバイブルと言ってましたが、本当にお気に入りの1冊となりました。たまに読み返したくなる本ですね。こういう本が絶版になってしまっているのはなんとも残念な限りです。


生活はアート その4

また、パトリス・ジュリアンさんの姿勢で惹かれるのは、モノゴトに対して“厳格な決まり”を設けていないことです。例えば「食」に関しての話では、コンビニでのお惣菜やインスタント食品などをダメ! と100%排除せずに、「アート」を取り入れれば、と受け入れてるところです。

「健康に気を使い、玄米を主食にして、ファーストフードは絶対に食べなかったりという生活をしていたころもありました。で、現在はどうかというと、これが全然こだわらなくなってしまいました。健康ではいたいけれど、『これをしたらいけない、食べたらいけない』というタブーを自分でつくることが一番いけないことだと思うようになったのです」

自分は、「中庸」的なものがうまく実践できず、モノゴトを0か100で考えてしまうことが多いので、これはなんかイタイです。特に健康にこだわっているわけではないけれど、ファーストフードは2度と利用しない、コンビニにはいかない! とある日突然決めて苦悩したりすることがあるので(1週間もたないですけど……)。

「疲れている時はラクチンが一番。時間がないからコンビニに行こう、インスタント食品を食べよう、それでもいいと思うのです」

「食べることは誰でもすることだから、手を抜かないでいたい。だからコンビニで買い物をしない、のではなくて、どれだけおいしい食事の時間を過ごせるかはアイディア次第だと思うのです」

コンビニで買ってきた食べ物なんかでも、ちょっと調理を加えたり、きれいに皿に盛り付ける、そういった面倒なことやささいなことに心を費やせば、味気ないディナーも雰囲気あるものに様変わりし、生活にも彩りを添えることができるのでは、といったことが本書では綴られています。

つづく


生活はアート その3

パトリス・ジュリアンさんが立ち上げたレストラン(今はないみたいですが)で、スタッフを採用する際に、基準にしていることの話が好きです。

「僕が『サントル・フランセ・デ・ザール(レストランの名前)』のスタッフに求めることは、第一にお料理が好きなこと。そしてもちろん食べるのが好きなこと、それに加えてお料理以外にもいろいろなことに幅広く興味を持って、毎日の生活や人生を楽しもうと思っていることです。かえって料理のテクニックがプロフェッショナルなだけの人はお断りしているくらいです」

「調理技術にだけは優れていて限りなくプロに近い誰かさんよりも、ファッション雑誌を見るのが好きだったり、かわいい雑貨屋さんを知っていたり、流行や情報に敏感なスタッフとコミュニケーションしたいと思います。このことは、うすーくじゃがいもの皮をむけることよりも、ずっとずっと僕にとっては大切なことなのです」

「感じのいいスタッフは案外少ないものだ、とよそのレストランでご馳走になるたびにつくづく実感するほどの、本当に恵まれた優秀な人達が集まりました」とパトリス・ジュリアンさんは言ってますが、これは普段、実感してます。感じのいいスタッフがそろったお店って本当になかなかないです。

「感じのいい」とは、人あたりもそうですが、自分にとっては適度に顧客をムシ!?(あまりかまってほしくない) しつつもこっちの料理や飲み物の進み具合なんかをしっかりチェックしてて、足りないなぁと感じる直前にさりげなく声をかけたり、用意してくれるスタッフなんていいですね。そして、

「いつか『オーバカナル』(カフェ)に併設されているベーカリーのライ麦パンを買った時、ふと気になって『ライ麦はどのくらい含まれているのですか』と聞いたら、スタッフが即座に『四十パーセントです』と答えてくれました」

と本書で言っているような、自分が働いている店で扱っている素材については、正社員、アルバイトに関係なく知っていて、そんなプロ意識をもっているスタッフがいるお店が好きです。

つづく


生活はアート その2

この本に描かれているパトリス・ジュリアンさんの考え方やこだわりが、自分にとって大切に思っていたことばかりで、とても共感できる、というか好きですね。本来、手をぬいちゃいけないところをちゃんと手間ひまかけてるところが。

レストランの物件探しではロケーションや雰囲気、改装のときには素材ひとつひとつにこだわりを見せています。

「なにか注文をつけるとき、日本の大工さんは『普通はそうしませんよ』とか『そうすると高くなります』とプロフェッショナルならでは、といった答え方をして僕たちの無知を非難したり、脅かせたりします。でも、本当は面倒くさいだけなのです。あるいは、ひとつのやり方しか試したことがないだけだと思うのです」

「『できない』と言われていることで、本当はできることは多いのです」

ところで、miさんは文庫本ではなく絶版になっている単行本の方を紹介してくれたんですが、これは本書を読み進めていく上で納得できました。執筆はもちろん、パトリス・ジュリアンさん自らが中のイラストも手がけ、紙の色も数種類に分かれていて、本書に書かれている「こだわり」がこの本自体にも表現されているんです。文庫本だとこのこだわりが生かされていないので、あえて単行本をオススメしてくれたのでしょう。

つづく


生活はアート その1

久しぶりに再会したmiさんと本の話になったときに、「自分にとっての『バイブル』!?」としてこの本を紹介されました。

それは、『生活はアート』。著者は、フランス大使館の職員、東京日仏学院副学長、レストランのオーナーを務めて、現在はライフスタイルプロデューサーとして活躍している、モロッコ生まれのフランス人、パトリス・ジュリアンさん。

本書では、パトリス・ジュリアンさんの日本のフランス大使館での文化担当官時代から、東京日仏学院の副学院長を経て、一軒家のレストラン「サントル・フランセ・デ・ザール」でのオーナー・シェフにおける日々を振り返りつつ、彼の生活に対するスタイル・姿勢や考え方が綴られています。

ひと言でいえば、この本は、「生活に『アート』を反映させることによって、何気ない日常の暮らしを素敵で楽しいものに」、といったことが紹介されています。

「『暮らし』とか『生活』というと『アート』とはかけ離れたものだと思われがちですが、フランスではライフスタイルを言うとき、それを生活のアート、『アート・ド・ヴィーヴル(Art de Vivre)』と表現します。フランス人にとって日常生活はアートでなければならず、奥さんは誰もがアーティストでなければならず、芸術作品は人々の日常を楽しくさせるためにあると考えます」

今でこそこういった本は「ライフスタイル」、「スローライフ」などと称して氾濫していますが、この本は1996年に発行されたものなので、こういった分野での先駆け的な存在なのかもしれません。

今、単行本は残念ながら絶版になっていますが(文庫本はあります)、10年以上も前のものにも関わらず、内容が全然色あせていないというか、読んでいて今も「うんうん」とうなずけることが多い素敵な本でした。

つづく


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